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苦手なことをひとつ克服した達成感

幼稚園の時に、友達と鉄棒で遊んでいたときのこと。その当時の私は、まだ前回りなどもできず、見よう見まねで、ぶらさがったり、体をぐいっと持ち上げたりしていただけだった。
いつものように前回りをする前の姿勢まで体を持ち上げて、友達と話をしていた時、一瞬支えていた手が疎かになり、体が前にぐるんっと回った。驚いた私は鉄棒から手を放してしまい、そのまま落下。
「せんせーい、○○ちゃんが鉄棒から落ちたー!」と呼びにいく友達の声が聞こえる横で、わけもわからず、泣きじゃくる私。
それからというもの、私は鉄棒が怖く、小学生になっても前回りすらできないままでいた。

そこで避けて通れないのが体育の授業。
何年生になっても1年のうち1度は、体育の授業に鉄棒が組み込まれてくるのだ。
暗黙の了解で皆、前回りはできる。私は小学生になってもできない。恥ずかしい。その想いから、必ず鉄棒のテストの時間はお腹が痛いといって休んでいた。

しかし、気がつけば時は小学六年生。
またもやってくる鉄棒のテスト。

    六年生にまでなって、逆上がりはまだしも、前回りができないなんて、もはや通用はしないし、仮病も限界だ。
    私は一大決心をし、テストに向けて鉄棒の練習をすることにした。

    家に帰り、「ちょっと公園へ行って来る」とだけ母に告げ、近くの誰もいない公園へ行き、一人もくもくと前回りの練習。
    恐る恐る体を傾け、徐々に徐々に深く深く、手はしっかり鉄棒を放さず、回るイメージをつけて。

    ぐるん。

    回れた。
    まぐれかと思い、確かめるようにもう一度。

    できた!
    私も鉄棒ができた!

    テスト当日、私は自信に満ち溢れていた。
    こんなに胸を張ってこの時間を迎えたことはない。
    見て!私の鉄棒を見て!そんな気分で待ちわびた授業開始、先生が発した言葉は、

    「前回りはみんなできるでしょうから、逆上がりのテストをします」

    吉本新喜劇のようなベタなズッコケをしたい気持ちに見舞われたが、それでも、苦手なことをひとつ克服した達成感に満たされていた。
    長年ピンとはりつめていた嫌な緊張が、ふっと解けた。

    ちなみに、もちろん逆上がりは出来なかったが。

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